2004年以前に建てられた戸建住宅のスレート屋根には、アスベスト(石綿)が含まれている可能性があります。アスベストは吸引すると肺がんや中皮腫の原因となる危険な繊維で、日本では2006年に原則使用禁止となりました。厚木市内にも、築20年以上のスレート屋根住宅で、アスベスト含有の可能性がある屋根が数多く現存しています。
本記事では、厚木市のスレート屋根住宅のオーナー様に向けて、アスベスト含有スレート屋根の見分け方、健康・法規制上のリスク、適切な対処方法、そして撤去や改修工事の費用相場を解説します。「うちの屋根は大丈夫なのか」とご不安をお持ちの方は、正しい知識を持って冷静に判断していきましょう。

この記事の監修者
和田工務店 一級建築士(第381914号)
和田 裕太朗 / Yutaro Wada
・2011年東京理科大学学工学部第二部建築学科卒業
・2012年大工育成塾入塾
・2014年大工育成塾卒塾
・2020年度(2021年)一級建築士取得
・2021年度(2022年)一級建築施工管理技士取得
アスベスト含有スレートとは何か
スレート屋根(コロニアル、カラーベスト)は、セメントを主原料にした薄い板状の屋根材です。1990年代までは強度・耐久性向上のためにアスベストが混入されていました。2000年代前半にノンアスベスト化が進み、2006年からは完全禁止となっています。したがって、2004年以前に建てられた住宅のスレート屋根はアスベスト含有の可能性が高く、2004〜2006年頃の建物は製品ロットにより混在します。
アスベスト含有スレート屋根の見分け方

築年数から推定する
最も確実な一次判定は「築年数」です。厚木市内で1990年代までに建てられた戸建住宅のスレート屋根は、アスベスト含有と考えるのが安全側の判断です。1996〜1999年頃の含有率は10〜15%、2000〜2004年頃は含有率が低下しつつも1〜5%の製品が流通していました。
屋根材メーカー名と製品名から特定する
新築時の図面・引き渡し書類・仕様書に、屋根材のメーカー名と製品名が記載されている場合、メーカー公開の含有情報から特定できます。ケイミュー、ニチハ、クボタなどの主要メーカーは、アスベスト使用期間と製品名リストを公開しています。また、国土交通省・経済産業省の石綿(アスベスト)含有建材データベース(https://asbestos-database.jp/)からも検索できます。厚木市内での改修工事でも、この情報が確認できると診断がスムーズに進みます。
分析調査による判定
どうしても不明な場合は、屋根材の一部を採取して民間分析機関で判定します。1検体あたり2〜5万円で結果が出ます。近年は撤去工事の際にアスベスト含有の有無を法的に明記する必要があり、事前調査を義務付ける動きが強まっています。
アスベスト含有スレートのリスクと法規制
アスベストは飛散した繊維を吸引することで健康被害が発生します。屋根材として固化されている状態では飛散リスクは低く、通常の生活で健康被害が生じることは基本的にありません。ただし、割れ・破損した場合、塗装工事でケレン作業を行う場合、そして解体・撤去工事の際は繊維の飛散リスクが上がるため、専門的な対応が必要です。
2020年に大気汚染防止法・石綿障害予防規則が改正され、レベル1〜3の全アスベストについて事前調査・作業計画の届出が義務化されました。スレート屋根はレベル3(非飛散性)に分類されますが、それでも法定手続きの対象となります。厚木市内の工事でも、届出義務と作業基準の遵守が徹底されています。事前調査の結果は工事現場に掲示する義務があり、施主にも情報開示が求められます。信頼できる業者は、これらの法定手続きを正確に説明し、書面で提示できるはずです。安価な見積もりでアスベスト対応を軽視する業者は、法令違反のリスクが高いため避けるべきです。
また、健康リスクの観点からは、屋根材が健全な状態を保っている限り、直ちに撤去する必要はないというのが行政・専門機関の共通見解です。むしろ無理に撤去することで飛散リスクが高まる可能性もあります。状態に応じて塗装で延命するか、カバー工法で封じ込めるか、撤去するかを冷静に判断することが大切です。
アスベスト含有スレートの3つの対処法

アスベスト含有スレート屋根への対処は、屋根材の劣化状態、住み続ける期間、ご予算などから総合的に判断します。それぞれの対処法にはメリットとデメリットがあり、住宅ごとに最適な選択肢は異なります。
| 対処法 | 特徴 | 費用目安 |
| 塗装での延命 | 現状維持、飛散リスク最小 | 40〜80万円 |
| カバー工法 | 既存屋根を残し新規屋根を被せる | 120〜200万円 |
| 撤去+葺き替え | アスベスト撤去費が加算される | 180〜300万円 |
対処法1:塗装での延命
スレート本体が健全で、貫通した割れがない場合は、塗装で現状維持しながら延命する方法が最もコストを抑えられます。飛散リスクを高めない塗装工程を選び、ケレン作業を最小限に抑えるのがポイントです。厚木市内でも、築25〜30年でアスベスト含有スレートの塗装対応を選ばれる住宅は多く見られます。
対処法2:カバー工法での封じ込め
既存のアスベスト含有スレートを撤去せず、その上から金属屋根を重ねて封じ込める方法です。撤去に伴うアスベスト飛散リスクを回避しながら、屋根性能を新品同様にリセットできます。費用と工期のバランスが最も良く、厚木市内でも増加傾向にある選択肢です。
対処法3:撤去+葺き替え
既存屋根を完全撤去し、新しい屋根に葺き替える方法です。下地から改修できるため根本解決になりますが、アスベスト含有物の撤去費用が別途30〜80万円程度加算されます。撤去業者はアスベスト作業の資格を保有している必要があり、作業員の防護対策、作業区画の隔離、廃材の適正処理まで厳格な工程が求められます。廃材は特定産業廃棄物として、収集運搬・処分の許可を持つ業者による処理が義務付けられており、マニフェスト(産業廃棄物管理票)による処理経路の追跡管理も必要です。厚木市内で撤去+葺き替えをご検討の際は、これらの手続きが確実に履行される見積もりかを必ず確認してください。
厚木市の気候と屋根材選択
厚木市は夏の高温多湿、冬の丹沢からの強風、台風時の長雨と、屋根材への負荷が大きい気候です。アスベスト含有スレートは、健全な状態であれば十分な耐候性を持ちますが、割れや反りが進行した状態を放置すると、飛散リスクと雨漏りリスクの両方が高まります。厚木市内での判断は、屋根の現状診断を丁寧に行ったうえで、住み続ける年数とご予算に応じた選択が現実的です。
業者選びと事前調査の重要性

アスベスト含有屋根の工事は、通常の屋根工事以上に業者選びが重要です。石綿作業主任者や特別教育修了者の在籍、建設リサイクル法・石綿障害予防規則への対応実績、事前調査の届出手順を明確に説明できることが必須条件になります。厚木市内で工事を依頼する際は、書面での作業計画・届出内容・費用内訳・保証内容を必ず確認してください。安価な見積もりでアスベスト対応を軽視する業者は、法令違反や健康リスクの原因となります。複数業者から相見積もりを取り、アスベスト対応の説明が的確かどうかを比較することで、信頼できる業者を見極められます。
まとめ|正しい知識で冷静に判断を
アスベスト含有スレート屋根は、健全な状態であれば直ちに撤去する必要はありません。塗装での延命、カバー工法での封じ込め、撤去+葺き替えの3つの選択肢から、屋根の状態・ご予算・住み続ける年数に応じて最適な対処法を選ぶことが重要です。厚木市にお住まいで、築年数から見てアスベスト含有の可能性が疑われる方は、まず無料診断や現地調査で正確な状態把握から始めましょう。専門的な知識を持つ業者と一緒に、法令に沿った適切な工事計画を立てることで、長期的な安心と資産価値の維持を両立できます。過度に不安を煽って撤去を迫る業者ではなく、屋根の状態に基づいた合理的な選択肢を提示できる業者を選ぶことが大切です。

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